宮沢賢治『銀河鉄道の夜』 #2
ジョバンニは勢いよく立ちあがりましたが、立ってみるともうはっきりとそれを答えることができないのでした。ザネリが前の席からふりかえって、ジョバンニを見てくすっとわらいました。ジョバンニはもうどぎまぎしてまっ赤になってしまいました。先生がまた言いました。
「大きな望遠鏡で銀河をよっく調べると銀河はだいたい何でしょう」
やっぱり星だとジョバンニは思いましたが、こんどもすぐに答えることができませんでした。
先生はしばらく困ったようすでしたが、眼をカムパネルラの方へ向けて、
「ではカムパネルラさん」と名指しました。
するとあんなに元気に手をあげたカムパネルラが、やはりもじもじ立ち上がったままやはり答えができませんでした。
先生は意外なようにしばらくじっとカムパネルラを見ていましたが、急…